ウルストンクラフト『女性の権利を擁護する』(1792年)を解説した本を取り上げました。出版されたのが200年以上も昔の古典ではありますが、現代フェミニズムとの連続性を感じられる思想が随所に見られます。例えば、英国における普通選挙法の実現より130年程も早く女性の被選挙権を要求したり、女性の経済的自立のための職業教育制度を提案したりもしています。彼女が先駆者と評されるのがよく分かる内容です。
とはいえ、時代とともにフェミニズムの問題意識が移り変わるにつれ、ウルストンクラフトの論説はその限界が指摘されるようになってしまいます(彼女が悪いわけでなく、古典はおよそそういうものです)。しかし、「新しかった部分・現代では批判されうる部分がどこにあるのか」が議論されることで、彼女の思想は今も昔もフェミニズムの発展に寄与し続けています。フェミニズムを学ぶ人間にとってやはり一度は触れておきたい思想なのではないでしょうか。(文責:アズシク)
開催日
2021年
オリジナルサブタイトル
※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。
「『みんなにやさしい社会』にむけたオープニング」(berner)
「女性とは、権利とは、そして男性・社会はどうあるべきか――古典から再考する」(たっくん)
「19世紀的フェミニズムの生みの苦しみ」(アントニン)
「フェミニズムを経て何を考えていくのか?」(ベルリーナ)