フェミニズム読史会

フェミニズム読史会の「過去の読書会」ページです。

第16回 性的搾取に基づく商売のあらゆる害とその廃止への提言 - 『マルクス主義、フェミニズム、セックスワーク論:搾取と暴力に抗うために』読書会

 

※第15回~は読書会の議事録を公開用に再編集したものを掲載します

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選書の理由

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第15回 "籠の鳥"たちの抗議と闘争 - 山家悠平『遊廓のストライキ』読書会

 

※第15回~は読書会の議事録を公開用に再編集したものを掲載します

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選書の理由

  • 吉原遊廓のフィールドワークを計画しており、その準備として遊廓の歴史を学ぶため*1
  • 「抗議した人々」の歴史に学ぶため
    • 当事者の歴史であるため
    • 消費する側の視点ではない、「置かれた場所で咲きなさい」でもない
    • 救おうとした人々の視点でもない
    • 自ら立ち上がった、当事者の視点から記述された歴史
    • これまで見逃されてきた歴史の一つ

*1:後日、検討したもののコロナ禍で頓挫しました

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第14回 男女とは何か、区別を生む政治的な力とは何か 歴史学への考察を促す古典 - ジョ−ン・W.スコット『ジェンダーと歴史学』読書会

 

 

ジェンダー史を学ぶ上での古典ともいうべき本書は、1990年代に出版されて以来、多くのジェンダー史家たちに影響を与えてきました。ジェンダーとは男女の性差に関する知である、というスコットの指摘は歴史学のみならず人文社会科学の諸学問の拡大や発展に大きく貢献したことは言うまでもありません。

男女とは何か、その区別を生み出す差異とは何か。このような問いは歴史学における客観性を考察する上で、今も重要なカテゴリーになるはずです。
そして分析概念としてのジェンダーが描き出す歴史は、今に生きる我々にも大きな視座を与えるだろうと、皆で話し合いました。(文責:たっくん)

開催日

2022年

オリジナルサブタイトル

※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。

「新しい知を産出するジェンダー分析」(berner)

「その本質を問う」(アントニン)

「『フェミニズム』ではなく『ジェンダー』を選ぶ理由」(アズシク)

第13回 信念に忠実であったもう一人の「人権宣言」起草者 - 『オランプ・ドゥ・グージュ―フランス革命と女性の権利宣言』読書会

 

 

前回の読書会で取り上げたメアリ・ウルストンクラフトに続き、同時代にフランスで活躍したオランプ・ドゥ・グージュの生涯に関する本書を選びました。

本書はフランス革命前後の歴史にある程度精通していないと読み進めるのが難しいですが、「思想および意見の自由な伝達は、女性の最も貴重な権利の一つである」と主張したグージュのマルチな活動が詳述されています。

劇作家のグージュは、作品を通じて奴隷制を批判し、さらに女性が人権宣言に含まれていないと意義申し立てをし、「女性および女性市民の権利宣言」を発表しました。さらに、当時のジェンダー規範を逸脱することに物怖じせず、ルイ16世の処刑に異を唱えるなど政治的意見を表明していたため、反対派から警戒され、最後には処刑されました。

参加者からは、グージュがもう少し後に生まれていれば、処刑されることにはならなかったのに、残念だ!という意見が多くあがりました。(文責:berner)

開催日

2021年

オリジナルサブタイトル

※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。

「恐怖に挫けず挑戦し続けた女性」(midori)

「隷属からの自由を求めて」(アントニン)

ジャコバン独裁と闘った劇作家」(アズシク)

第12回 フェミニズムの古典的名著に挑戦する - 『フェミニズム的転回叢書 女性の権利を擁護する―メアリ・ウルストンクラフトの挑戦』読書会

 

 

ウルストンクラフト『女性の権利を擁護する』(1792年)を解説した本を取り上げました。出版されたのが200年以上も昔の古典ではありますが、現代フェミニズムとの連続性を感じられる思想が随所に見られます。例えば、英国における普通選挙法の実現より130年程も早く女性の被選挙権を要求したり、女性の経済的自立のための職業教育制度を提案したりもしています。彼女が先駆者と評されるのがよく分かる内容です。

とはいえ、時代とともにフェミニズムの問題意識が移り変わるにつれ、ウルストンクラフトの論説はその限界が指摘されるようになってしまいます(彼女が悪いわけでなく、古典はおよそそういうものです)。しかし、「新しかった部分・現代では批判されうる部分がどこにあるのか」が議論されることで、彼女の思想は今も昔もフェミニズムの発展に寄与し続けています。フェミニズムを学ぶ人間にとってやはり一度は触れておきたい思想なのではないでしょうか。(文責:アズシク)

開催日

2021年

オリジナルサブタイトル

※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。

「『みんなにやさしい社会』にむけたオープニング」(berner)

「女性とは、権利とは、そして男性・社会はどうあるべきか――古典から再考する」(たっくん)

「19世紀的フェミニズムの生みの苦しみ」(アントニン)

フェミニズムを経て何を考えていくのか?」(ベルリーナ)

第11回 文学だからこそ残せる歴史がある - スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 『戦争は女の顔をしていない』読書会

 

 

本作は、第二次世界大戦に従軍したソ連女性たちの証言を集めた作品です。作中に「フェミニズム」や「ジェンダー」等の用語は登場しませんが、フェミニズムにも大いに関係のある内容なので取り上げました。建前上は男女平等を掲げ、女性を兵士としても”活用”していたソ連社会ですが、戦場における女性たちの証言は当時の女性差別を浮かび上がらせます。

歴史学を専攻してきた人間にとって、アレクシェーヴィチの作品はオーラル・ヒストリーのようにも見えます。しかし、彼女自身は「自分の作品は文学である」と位置付けます。「戦場でどんなことがあったか」ではなく「戦場で人間がなにを感じていたのか」という文学的関心を以て証言を集めることで、本作は「感情」を歴史として残すことに成功しています。

普段、この読書会では扱わない「文学」に触れたことで、歴史学の枠組みでは残しきれない「歴史」の存在を感じさせられました。(文責:アズシク)

開催日

2021年9月

オリジナルサブタイトル

※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。

  • 「あなたの声で語る大事さ。初めからそこにあった視点。」(PYALA)
  • 「40年ぶりに明かされる、戦場の喜怒哀楽」(アントニン)
  • 「英雄史への異議申し立てー愛と戦争と記憶をめぐる歴史」(たっくん)
  • 「戦争における喜びや悲しみの感情」(berner)

 

亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版アレクシエーヴィチとの対話: 「小さき人々」の声を求めてセカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

ユリイカ2022年7月号 特集=スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ -『戦争は女の顔をしていない』『チェルノブイリの祈り』『セカンドハンドの時代』…耳の作家、声による文学-アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』 2021年8月 (NHK100分de名著)完全版 チェルノブイリの祈り 未来の物語

第10回 女性のジェンダー規範の確立と揺らぎ - 『南北戦争のなかの女と男――愛国心と記憶のジェンダー史』読書会

 

現代米国の人種問題を考える上で、南北戦争の評価は今日まで影響していると語られることが多い。北・南部の男女は南北戦争に何を見出し、誰のために戦ったか。著者はジェンダーの切り口を導入し、南北戦争の再考を試みている。

私たちが南北戦争と聞くと戦禍の中で家族を守ろうとする「風と共に去りぬ」のヒロイン、スカーレット・オハラのたくましい様子を思い出すであろう。彼女が劇中で描写されているように、南部の白人は性別役割分業に忠実で、自らの家族や家庭を守るために戦った。

一方、公私の領域が分断されていた北部の白人は、自らの家族・家庭よりも広範な存在である連邦に献身した。戦後、北・南部の女性は徐々に公的領域に参入していった。

第二次世界大戦と女性の役割や領域拡大の連関性はよく語られるが、南北戦争も白人女性に活動の幅を広げ、自由をもたらしたことは新たな視点であった。

南北戦争のなかの女と男」という邦題だが、男性のジェンダー規範の変化については言及されていなかったため、その影響も気になるところだ。(文責:berner)

概要

開催日:2021年

オリジナルサブタイトル

※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。

「『愛国』に振り回される女性たち」(アントニン)

「『風と共に去りぬ』の時代 南北アメリカの戦争と女らしさ/男らしさとは」(はりねずみ)

「ないものとされた女性の意思と戦後の社会的活動」(midori)

「戦争を通じて築かれるジェンダーロール」(azusachka)